夢をみた。
日本だと基本的に出家したら死ぬまで僧侶だ。
異性と何してもお酒飲んでもビジネスしてもいいんだから、還俗する必要がない。
この国にある仏教だと世俗と言う一般社会からはなれて世捨て人になる。だからもういられなくなったら、黄衣が熱くなったとかなんとかいって、還俗の申し出をする。
その夢をみた。
自分の前に昨年なくなった、私が敬愛して止まなかった大僧正がひょっこり前に座っている。
どうも大僧正のクティ(僧坊)のようだ。
思うところありまして、還俗の許可を頂戴しに参りました。
つきましてはその許可と儀式によい日時をいただきたく、お願いしに参りました。と言ってる私。
大僧正がじっと私をみている。
沈黙がじわーんと広がる。
えも言われぬ感じで感慨深い表情の大僧正。
お前は、25パンサーか。ながきに渡りよくやった。
ここで学んだことをこれから活かしていくのだぞ。
じんわりと胸に熱いものが広がる。
還俗しちゃうんだっていう気持ちと、ほめてもらってすごく嬉しいのとがごっちゃになっている。
大僧正に一つ質問をしてもいいですか、と尋ねた。
どうして私はここに来ることに?
お前とこうやって話すことももうあまりなかろう、といって、私の質問に答えてくれた。
それはお前がここに何の縁ももたなかったからだ。
お前が純粋に魂を磨き、本質、すなわち物事のあり様、学ぶべきことを体得するにはお前は独りにならなくてはいけなかった。
それだけに集中するには、お前の生まれた国や縁があるところでは難しかったのだよ。
もうお前は十分やった。
だからもういくべきところにいって結ぶべき縁を結びなさい。
そう言ったあと、大僧正はお見通しだったとようにふふふ、と笑って
いろいろ腑に落ちたろう、と言った。
日にちをみてやるから、改めて来なさいと言われて
いとまごいをするのに頭を下げている黄衣に身をまとっている我が身をみて目が覚めた。
縁がないことがここにいる理由なんていうウルトラCを誰が考えついたのだろうかとおもう。
大僧正が夢にでてきたのははじめてだった。
一度お目にかかりたい。お亡くなりになるまでそう願っていた方に謎解きしてもらえたことがただ、嬉しく、溜飲が下がった。